留学後記発着編

 

 

 

母に空港まで車で送ってもらい、朝1番の便で羽田空港へと向かう。本来なら家族との別れを惜しむはずが、私の頭の中はきっとウイルスがウヨウヨしているであろう羽田成田でいかにウイルスを避けられるか、そのことでいっぱいであった。小心者の私は、陸の孤島と呼ばれる地元の庄内空港にいる時点で警戒レベルMAXで、持参の消毒液をこれでもかと手指にかけまくる。母にもらったアリナミンをぐっと飲み干して軽く腹を下したのち、地元を後にした。

 8時ごろ羽田について間も無く、国際線に乗るためにとりあえず成田に移動する。とはいえコロナ禍の影響を受け1日一便になった成田金海便は19時なので、時間に余裕はたっぷりあった。人の多そうな成田で10時間近く滞在するのは、戦場に行くのと同じレベルの警戒度である。そんなにコロナが怖いなら人の多そうな空港での滞在時間を削ればいいじゃないかとも思ったが、チケットのキャンセル代を惜しかったので断念。「貧乏人は防疫すらできない」などというのは被害妄想かと思ったが、緊急時に金を惜しむ金銭感覚というのは貧乏人そのものであり、あながち間違いではなさそうである。とはいえ、留学に行かせてもらった母には感謝で頭が上がらない。

 成田空港に着くと腹が減ったのでハンバーガー屋でハンバーガーを2つほど買い、食べることにした。レジにやってきたヤンキーたちはマスクもせずコロナなどお構いなしに見えたが、後の事を考えると、あのくらいの構えでいれたほうがなんだか調子がよさそうだし、彼らは絶対コロナにかからなそうに見えた。当然私は石橋を叩いて渡るタイプなのでバーガーをびしっとテイクアウトし近くの神社で昼食。もちろん持参の消毒液で手指を消毒し、メガネもアルコールシートで拭く徹底ぶりである。道行く人の視線を感じたが、最善の策を尽くしているのだと言い聞かせハンバーガーを平らげた。

 そうこうしているうちに飛行機の時間になり、一連の手続きを終えて出国。すでに大流行を見せるコロナのおかげで、1日一便になった成田金海便でさえ非常に閑散としていた。金海は地方の空港なのでそもそも混んでいないのかもしれないが半分くらいの席は空いていたように思う。飛行機の中では韓国に行ったらあれを食べたいこれを食べたいなどと考えながら1人ニヤニヤしたりもした。考えてみると今までは言語を学んでいるとはいえ、今まで一回しか行ったことのない存在だった韓国に行くというのは非常に現実味がなく、この時点でもまだ状況が把握できていない感じであった。

 空港に着くと留学先の職員の人が迎えにきてくれており、韓国の空気を吸うゆっくり暇もなく移動。輸送車はビニールシートで前後が遮られており韓国に降り立った時のふわふわした気持ちは一瞬で消え去った。ビニールシート越しに外を眺めると土曜日夜10時だが車は全くいないに等しい。この時すでに韓国では在宅勤務がスタートし、外出自粛もすでに始まりつつあったので当然の光景であった。送迎をしてくれた職員の人は日本に留学していたらしく日本語が堪能だったが、大体韓国語で会話をし、ビニールシートの効果が薄れそうなほど楽しく話した。聞けば中国人留学生のキャンセルが相次ぎ入寮者の数も激減しているとのこと。具体的な数字も言っていたはずだが、1ヶ月もたった今となっては思い出せない。500人が200人に減った、とか言っていたかもしれない。

 寮に着くと、防護服を着た職員の方達に迎えられる。ぐるっと一回転し、全身を消毒されて、留学生活がスタート。この日から2週間の間は隔離措置が取られ部屋から一歩も出れない日々が続いたが、これもなかなか経験できない体験として次のパートで話そうと思う。

 

#新型コロナウイルス

#留学

#韓国

1

 

 

 

印紙貼美

印紙貼美

 

コメント